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診療科・部門

臨床研究部

【研究への理念】

当院では、小さいながらも難病患者が集まる特色を活かして、幅広い職種で実生活に役立つ研究への取り組み方を修得することを目指しています。
難病患者を統計学的に考察できるだけの症例数を集められる病院はほとんどありません。ところが、当院は、神経・筋疾患患者を中心にまとまった数の難病患者が集まる日本では極めて稀な病院です。当院には、病態の進行が緩徐なために丁寧に診たデータが蓄積されています。まさに各種臨床データという研究材料の金鉱脈が埋まっているといえます。さらに、難病を抱える患者と向き合うには、人生哲学をも成長させていく必要があります。当院では確りとした人生哲学芯をもった精神が自ずと養われていきます。
人生の中で、たとえ数年間でも、このような環境で研究活動に力を注ぐことは、その後の人生の糧となり、人生を豊かにするはずです。これから研究を経験したい人、データは揃ったけれどもまとめる時間のない人、大学院の年限が終わってしまう人、そして「生きる」ことの意味に一度は向き合ってみたい人など、職種を問わず英文論文の作成までの指導を行っています。
短期間でも、研究に意欲のある人を、わたしたちは大切にします。興味のある方は連絡をいただければ歓迎いたします。

【構成内容】

神経・筋治療研究室

神経筋疾患の病態解明、多施設共同の臨床研究、多職種スタッフと連携して患者のQOL向上などについての研究に取り組んでいます。
名古屋大学との共同基礎研究で、神経筋疾患の遺伝子型と臨床病理像との関連解明や、四肢電位を用いた神経筋疾患患者の新規コミュニケーションツールについての研究を行っています。

神経病理研究室

亡くなられた患者様を解剖させていただき、神経・筋疾患の病理学的研究を行っています。愛知医科大学加齢医科学研究所、小山田温泉記念病院、四日市市立病院との合同カンファレンスに定期的に参加し、入院治療時の診断(臨床診断)と解剖による診断(病理診断)を照合して診断力の向上と病態解明に貢献しています。

呼吸器障害治療研究室

神経筋疾患と重症身体障害における呼吸器疾患の治療や当院で約100台稼働の人工呼吸器の管理、呼吸リハビリテーション、呼吸疾患看護などの研究を行っています。

【活 動】

○スモンに関する調査研究

厚生労働省 難治性疾患政策研究事業のスモンの研究拠点として活動しています。久留 聡院長が研究代表者、南山 誠副院長が分担研究者をつとめています。
当院ホームページからスモンに関する調査研究班のバナーをご参照下さい。

◯現在進行中の臨床研究

おもに国立病院機構の神経筋疾患関連病院による共同研究に参加しています。
久留 聡院長は、筋ジストロフィー研究班の小牧班、高橋班、松村班の3つの分担研究者をつとめています。また、筋画像を研究し肢帯型筋ジストロフィーの診断アルゴリズムの作成や、筋量測定法を開発し大鵬薬品のTAS-205治験にも貢献しています。さらに、筋強直性ジストロフィーやデュシェンヌ型筋ジストロフィーの診療ガイドライン作成委員としても活躍し、筋ジストロフィー研究の分野において重要な役割を果たしています。

疾患 研究テーマ 研究母体事業
筋強直性ジストロフィー 筋強直性ジストロフィーに対する非侵襲性人工呼吸療法の効果に関する多施設共同研究(研究責任者:久留 聡) 日本医療研究開発機構(AMED)
筋強直性ジストロフィー レジストリと連携した筋強直性ジストロフィーの自然歴およびバイオマーカー研究(高橋班) 日本医療研究開発機構(AMED)
難治性疾患実用化研究事業
筋ジストロフィー 筋ジストロフィーの標準的医療普及のための調査研究(松村班) 厚生労働省
難治性疾患政策研究事業
筋ジストロフィー 筋ジストロフィーの臨床開発促進を目指した臨床研究(小牧班) 国立精神・神経医療研究センター
精神・神経疾患研究開発費による研究事業
筋ジストロフィー 筋ジストロフィー心筋障害に対するTRPV2 阻害薬の多施設共同非盲検単群試験 国立病院機構共同臨床研究
デュシェンヌ型筋ジストロフィー デュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象とした新たな患者レジストリを構築するための研究(Remudy-DMD)(中村治雅班) 国立精神・神経医療研究センター
精神・神経疾患研究開発費による研究事業
ベッカー型筋ジストロフィー 臨床開発を目指したベッカー型筋ジストロフィーの自然歴研究(中村昭則班) 日本医療研究開発機構(AMED)
難治性疾患実用化研究事業
デュシェンヌ型およびベッカー型筋ジストロフィー 長時間測定可能なウェアラブル機器を用いた筋疾患患者の身体活動量・心機能・自律神経機能の評価に関するパイロット研究 武田薬品工業株式会社
重症心身障害 重症心身障害者における標準的がん医療の実態調査 国立病院機構共同臨床研究
◯サイボーグ型ロボットHALによる歩行治療

神経筋疾患患者を対象に、歩行機能改善を目的としたサイボーグ型ロボットHAL医療用下肢タイプを2017年に導入しました。筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、封入体筋炎など8疾患が適用とされていますが、他の神経筋疾患を含めた歩行機能の改善にむけて検討を行っています。

◯学会活動

筋ジスロトフィー医療研究会、国立病院総合医学会を中心に毎年多くの発表を多職種とともに行っています。

【教 育】

◯鈴鹿病院夏期筋セミナー

毎年、若手医師を対象に筋疾患についてのセミナーを行っています。病態、病理、治療などの講義、施設見学を交え、筋疾患専門の病院として東海北陸地方の先生方によくご参加いただいています。

◯その他

職種を問わず、社会の中で役立つスキルを身に付けることを念頭に、研究計画の立案から申請書の作成までを丁寧に指導しています。また、卒前・卒後医師の教育、病院スタッフに対する院内研修、院外への講演などを行っています。


 
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